地域の会議に参加してみた。参加者の95%が女性で、男は俺1人。
そこで超衝撃を受けたので、備忘も兼ねて残しておく。
まず、少なくとも俺の知っている会議は、議題があって、それに適切と思われる答えを出すもので、答えを出すために必要な人間・情報を用意したうえで行われるものだ。
けど、そこにはそんな会議の概念は通用しなかった。
議題が提示される。
概要を理解している中堅社会人なら3分で結論出せるような話。
でも結論は出ない。結論が出ないどころか、結論に繋がるような話も出ない。
それに関連する無難な話がひたすら続いて、だれも踏み込んだ話をしない。
多分大事な情報を持っている人も意図して出していない感じ。
会議のはずなのに、1mmも話が進まない状況に俺は混乱した。
会話は続いているのに、解決に向かって全然進んでいない。
「主婦が多そう…。社会人経験無いとヒヨコ頭になってしまうのか!?」
「実は…。表立って言えない何かがあって、みんな言い淀んでいるのか?」
「地域の闇…。司会者が嫌われてて、これは陰湿なイジメなのか?」
そんな色々な疑念が渦巻いていた時…、やっと気付いた。
無難な話の中で、その口ぶりやみんなの反応から、答えに繋がる「空気」が醸造されている。
凄く不思議に感じたけど、決定的な発言を誰もしないまま、総意っぽいものが空気として出来上がっている。
その空気の圧力はもの凄く、俺は男社会では経験したことが無いもので、少し胃が痛くなる感じすらした。
「え、もう結論出てるじゃん!」っていうレベルの空気が出来上がっても、だれも結論に繋がる事は言わずに、ひたすら他愛もない話を繰り返して圧力が更に高まる。
他の答えに繋がる発言は理不尽にでも黙殺しなければ許されないレベルの空気が出来上がる。
空気としか表現出来ないのが悔しいけど、ピリピリして、ズシンとして、その空気に反すると死にそうな、何か凄い感じ。
小学校の頃に感じた、母ちゃんがマジギレしてて、理由とかよく分かんないけど今は反対しちゃマズイな。っていう感じに近い。
男の俺には未経験の、本当にヤバイ空気。
そして突然「じゃあ◯◯ですね」と結論が出る。
意味不明。
論理的に正しいとは思えない結論だし、その結論に至るプロセスも滅茶苦茶。
だけど、俺は心底ホッとした。
答えが出たことに安心した以上に、あることに安心した。
それは・・・。
会議の序盤で「様子見」を出来たことを振り返って安心した。
危なかった。マジで超危なかった。
会社だったら「◯◯で××ですから、コレとコレを確認したら答え出ますね」で終わらせていたし、全く進んでいない(ように俺には見えた)会議にイライラして、サッサと終わらせたい欲求が頭をもたげていた。
けど、「それは危険だ」と告げてくれた俺の野生に本当に感謝した。
何故か。
この会議に皆が期待していたのは、議題に対する最適な答えではなく、全員が納得して全員で結論を出すことだった。
だから、「誰かがこう言ったから決まった」はNGだし、「こういう仮定のもと結論づけた」もNG。
理由もへったくれもなく、「みんなで決めた」が大事。
会議で決める事は、少なからずみんなの負担になる部分もある。
だからこそ、執拗なまでの合意形成をするし、その合意はだれかの決定的な一言に依存してはいけない。
その決定が将来後悔する内容だったとしても、誰かが恨まれてはいけない。
これが女性社会なんだろうなー。と感心した。
誰も傷つかないし、誰かが責任を負うこともない。とはいえ無責任ではなく、全員が責任を心理的に負う。
そのコミュニティの存続こそが最も高い優先事項で、課題解決の為にそれを脅かしたりはしない。
コミュニティを無視した論理的な結論よりも、多少非合理的では有っても皆の協力を得られ、コミュニティに悪影響を及ぼさない結論の方が解決力も高いし後々も良い。
これは女性からしたら「当然っしょ」って思うかもだけど、俺には目からウロコだった。凄い。凄く凄い。
女性社会は女性社会のルールがあって、男性社会でロジックが大事なのと同様に空気・和が大事。
この空気を作る能力は勉強しても身につかない&長期間の修練が必要な技能で、この能力に秀でている人が女性社会でリーダーになるんだろうな。
で、このように女性社会に進出してみた結果、この女性社会で俺が戦うことはまず無理だと悟った。
空気の作り方、操り方も分からんし、下手したらその空気を感知すら出来ないで詰む。
そもそも最初は会議のゴールすら見誤っていたし。
多分仕事が出来ると自覚してる、経験あるおっさん達であっても、あの社会では同様に詰むと思う。
空気もコントロールできず、コミュニケーションもしくじる、そうすると意思決定に関与することが出来ない。
結果、やれって言われたことだけやるようになるけど、それも意思疎通の齟齬で結果を出せずに否定されまくって、尊厳も誇りもポッキリ折れて、胃潰瘍ができて円形脱毛症が出来て、ダウンすると思う。
そしてやっとタイトルの「男性社会に女性が進出って、無理ゲーだと思った」なんだけど、
男性社会に進出している女性というのは、今回の俺と逆の状況で戦っているってことなんだよな…
これは、かなりシンドイぞ…!!
と、痛感した次第。
丁度俺の前職は非常に男性社会ルールだった。
意思決定のプロセスはロジカルで、定性的、定量的材料をもって決める。批判的な検証ももちろんするし、責任の所在も明確にする、成果主義のマッチョマッチョな感じだった。
商材が女性向けという事もあって、女性の採用を積極的に行い男女比も半々だったけど、残念ながら彼女たちの多くは成果を上げられなかったし、ずっと辛そうだったし、きっと仕事が嫌いになったはずだ。
一方、学生のころ働いていた職場では、女性社員が目を見張る成果を上げていたし、社内でも頼られていたし、何より凄く幸せそうだった。女性の社会進出のポスターじゃないけど、まさに輝いていた。
その違いが何なのかずっと悶々としていて、今も答えは出てないんだけど、男性社会のルールのままだと、いくら女性を増やしてもそこでは女性は活躍出来ないし幸せにもなれないんだろうなというのを、自分が女性社会に乗り込んで本当に痛感した。
でも、今声高に叫ばれてる「女性の社会進出」って、男性社会のルールに女性を数だけあてがっているところが非常に多いイメージ。
育休・時短等の制度でのサポートはあるけれども、男性社会のルールで戦うことを強いているところは多いんじゃないかな。
仕事として女性社会的な進め方が適切な部分を見極めて、そこで活躍して貰う事を、もう少し意識してやったりは出来ないのかなって思った。
女性の方が価値出しやすい領域は間違いなくあるんだから。
長いし、まとまりないし、一部差別的に聞こえるかもなんだけど、ちょっと書いておきたかったので書いた!
読んでくれた人にはありがとう!
チーかま食って寝る。